トピックス
アニメや音楽にファッション…
「好き」を科学する、経済データサイエンス<中編>
――数学に強くない文系学生でも簡単にプログラミングできるということでしょうか
そうです。Pythonに数式の知識は必要ないため、文系理系問わず多くの人々に利用されています。まさに、世の中の流れは大きく変わっています。
――素晴らしい進歩ですね。Pythonを学んだ後は、どんなステップに進みますか
3年次には「ビッグデータとAI」をテーマに学びます。ビッグデータとは、簡単に言うと膨大な量のデータのことです。例えば、地図アプリの位置情報やWebサイトのアクセスログなどが挙げられますが、最近では十分な記事投稿がされているWikipediaや各種映画レビューサイト、青空文庫なども含まれるでしょう。
このようなデータを分析するために、私たちはKHコーダーというソフトウェアを使いました。KHコーダーは文章を細かく分割し、言葉の出現頻度や関係性を数値化することで、大量のテキストデータから重要な情報を抽出するツールです。
以前、音楽アーティストの米津玄師とKing Gnu(キングヌー)の歌詞をKHコーダーで分析した学生がいました。その結果、米津玄師の歌詞には「未来」という言葉が特徴的に使われ、一方でKing Gnuの歌詞には「今」という言葉が特徴的に使われていることがわかりました。これは、二人のアーティストが歌詞を通して表現したい世界観の違いを表しているのかもしれません。
――どちらも同世代のアーティストでありながら、そのような分析結果が出るというのは驚きですね! 経済データサイエンスゼミではどのようなテーマで研究を行っているのでしょうか?
津谷:ゼミでは、学生の興味に基づいた様々なテーマで研究を行っています。最近では、学生が20年分の「プリキュア」のあらすじを分析し、社会情勢が作品に与える影響を考察するという非常に興味深い研究を行いました。この研究を学生が私の所属する学会で発表したところ、アニメファンだけでなく、社会学的な視点からも注目していただきました。
――「プリキュア」のあらすじ分析では、どのようなことが解ったのでしょうか?
津谷:プリキュアの分析では、災害時の視聴者の共感を呼ぶキーワードを特定することができました。これはアニメが単なる娯楽ではなく、社会的な出来事に影響を与え、人々に勇気を与える可能性を示唆する興味深い結果です。
NEXT 一番大事なものは好奇心