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現役外交官から学ぶ「外交のリアル」
国際関係論特別講義・第2回レポート
5月16日、外務省の現役官僚である楢岡善丈客員教授による「国際関係論特別講義」の第2回目が開講されました。3年目を迎えた同教授による本講座。秋田市出身の楢岡教授は、国際情勢と日常とのつながりを具体例を交えてわかりやすく解説しました。
■「食の外交」と、動画で学ぶ経済安全保障のリアル
この日の1コマ目「国際情勢の認識②」では、外務省作成の国際情勢や日本の外交活動をまとめた報告書「外交青書」を基に、現在の国際情勢の認識と日本外交の取組や今後の展望について取り上げられました。
重要なキーワードの一つである経済安全保障については、高市早苗首相が経済安全保障担当大臣当時に出演した動画も紹介。重要な物資や技術を守り、他国への依存や流出を防ぐ経済安全保障推進法(令和4年成立・公布)の制定に至る経緯が示されました。
2コマ目「外交実務の現場②」では、日本の外務省が世界中に設置している在外公館(大使館、総領事館、政府代表府)の活動や役割、勤務する外交官や職員の姿に加え、外国が日本に設置している在京大使館や総領事館、在日外交官の仕事ぶりなどについて、動画を交えて理解を深める内容となりました。
また、在外公館で賓客をもてなす「公邸料理人」についても動画を用いながら説明がありました。楢岡教授は、外務省ではこれまで⼤使や総領事との個⼈契約だった公邸料理⼈制度について、令和8年から「在外公館料理⼈制度」として国との公的契約へと移⾏したタイムリーな変⾰に触れ、外交における「⾷」の重要性を強調しました。
■学生発表から広がる、知られざる外交の舞台裏
この日の3コマ目は、学⽣たちがそれぞれ“⾏ってみたい国”を調べて発表するグループワークを実施。学生たちからは、タイ・韓国・アメリカ・イタリア・スペイン・イギリス・オーストリア・スイス・アイスランドなど各国についてのプレゼンテーションがあり、楢岡教授が実体験をもとに補⾜しました。
イタリア及びイギリスについては、日本が戦略的パートナーである両国との間で次期戦闘機の共同開発を進めていることや、イタリアのメローニ⾸相がアニメ好きである⼀⾯や、G7広島サミットに出席したメローニ首相の子女用に岸⽥⾸相(当時)がハローキティのぬいぐるみを贈ったエピソードなど、外交の現場ならではの裏話も紹介されました。
このほか、同じイギリスでありながらスコットランドでは独⾃の紙幣が流通している点や、第⼀次世界⼤戦時に日英同盟を結んでいた日本が英国の要請を受けて地中海に艦隊を派遣したこと、地中海のマルタ共和国の英連邦軍墓地には戦士した⽇本⼈海軍軍人をまつる慰霊碑が建てられており、2017年には安倍首相(当時)が訪問・慰霊を行ったことなど、教科書には載っていない具体的な外交・歴史の知識が共有されました。
■56カ国訪問の経験から語る「印象に残る国」
授業の最後には、受講生アンケートの質問に楢岡先生が答える形で質疑応答が⾏われました。
「最も印象に残っている国は」という質問に対し、楢岡先生は「一つに絞るのは難しい」としながら、3つの国を挙げました。
⼀つ⽬はアフリカ北東部のジブチ共和国。安倍⾸相の訪問に同⾏し、気温50度近い過酷な環境で⾃衛隊の拠点を訪れました。
二つ目は岸田首相の訪問に同行し、世界最大の日系人社会から温かい歓迎を受けたブラジル・サンパウロ。
そして三つ目は、日本海軍の慰霊碑が今も大切に守られているマルタ共和国です。
歴代総理の外国出張にも同行してきた外交官ならではの話に、学生たちは熱心に耳を傾けていました。
受講した三浦友萌香さん(総合政策学部 国際学科3年)は「現場の人が語る国際関係論はすごく説得力があり、興味深かったです」と語り、村上尚起さん(同)は、「外交官の仕事は政策だけでなく、食文化などを通じた交流によって相互理解を深める役割もあることを知りました」と振り返りました。
■国際情勢は「秋田の日常」とつながっている
「いまの国際社会は歴史の転換期。これは外務省としても強調している現実であり、まずはその危機感を知ってほしいです」と語る楢岡教授。
物価高や資源問題、ウクライナ情勢、ホルムズ海峡をめぐる動きなどを例に、「世界で起きている出来事は、秋田での暮らしとも無関係ではありません」と説明します。
「国際的な視点は、公務員に限らず、どの分野に進んでも大きな力になるはずです」と説き、「この講義を通じて、自分の言葉で発信できる力を身につけてほしいですね」と学生たちへ期待を寄せました。