エッセイ一覧


朝起きられなくなった人々  ― 人体のリズムと起床時間の大切さについて書き綴りました。

私たちは、一日24時間のリズム(正確には25時間であるが)で生活をし、健康を維持している。身体が、副交感神経緊張型から、交感神経緊張型へのリズムに変わるのは、日の出前の午前4時頃である。この段階で、脈拍も、血圧も、血糖値も、日中型の身体へと交感神経が変化していくのである。

脳の働きも、循環器の働きも、午前10時頃から午後2時頃までがピークで、そこから下降気味になっていく。

夜になると、交感神経緊張型から、休息の副交感神経緊張型へのリズムに変わり、夜中には、代謝の時間へと変わっていくのである。したがって、少なくとも午後10時から午前2時くらいまでは、最も大切な時間で、体の健康のためには、この時間は熟睡していなければならないのである。

ところが、現代人はこの人体のリズムが、大幅に狂っている。

電灯が発明されたのは数百年前である。それまでは、人は、太陽とともに起き、太陽が沈むと眠るという生活を送っていた。ジャングルで生まれ、サバンナに降り立った私たちの先祖であるホモサピエンスが、消えていった他の人間の種の中でたった一つの種として生き長らえたのは、このリズムに合った自然に調和した生活をすることができたからである。現在120万の動物の種があるといわれているが、宇宙のリズムに合わない動物は例外なく絶滅しているのである。

私たちのリズムが変わってきたのは、電気の発明によるものであるけれども、最も問題になるのは、現代のスマホなどのブルーライトや電磁波を強力に出す通信機器の発達によるものである。

金曜日は次の日が休みだから夜遅くまで起きている。ゲームをする、スマホを使う、人によっては明け方まで眠らないという人もいる。そして、次の日は休日でもあるし、1週間の疲れも加わって、昼過ぎまで寝ている。日曜日の朝も遅い。そういうように1週間のリズムが少しずつ狂っていくと、月曜日の出勤や登校がつらくなり、遅刻をし、やがて欠勤するようになる。

午前中は生気がなく、食欲もない。夕方になると目がさえ、活動的な身体になっていく。「5時から男」がそうして生まれる。夜型の体質になっていくと、自然に逆行して、夜間の血圧が最も高くなり、血糖値も、脈拍も高く、身体は逆に日中そのものになってしまう。本来は休まなくてはいけない時間帯であるが、夜中まで目がさえる。そして、その中で飲食をし、音楽を聴き、眠れなくなるのである。明け方になってようやく、うとうととし、日中はさえない。学校へ行っても勉強に集中できないし、会社に行っても同じである。すると、学業も、勤務成績も下がり、望みがなくなる。こういう状況で病院に行けば、鬱と診断されることも多い。これは日中出勤して働いたり、あるいは勉強しなくてもよいという免罪符であり、彼らにとってみればまさしく干天の慈雨である。こうして病人が作られるのである。

私たちは、どんなに夜遅くまで起きていようと、また、疲れていようと、朝は同じ時間で起きるよう指導する。そうしなければ、夜の熟睡を得られることはないし、心地よい朝を迎えることもできないのである。何よりも、健康で幸せな人生を掴むためには、歯を食いしばっても、そうしなければならない。昼と夜がひっくり返った生活をしていれば、引きこもりになっていくし、何よりも幸せな老後を迎えることができないのである。

私たちは、自分の生命が、太陽と、そしてまた大地という天与の恵みの結果であることを忘れないようにしなければならない。そう自分自身にも言い聞かせている。

作成日:平成31年3月1日